ビジネス書ばかり読んでいると小説が恋しくなる。ふとした拍子にこの本を手に取ったのだが、この作家の本を読むのは初めてだった。
感想は一言で言って『最悪』である。
勿論、出来が最悪、というわけではない。(だったら紹介しない。)
奥田 英朗
講談社 (2002/09)
売り上げランキング: 7,657
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おすすめ度の平均:
これが序章だ嫌な奴、大集合!(笑)
普通に面白いです
小さな鉄工所を自ら営む「川谷」と家庭の問題やセクハラに悩み、自分自身の生き様にもなんとなく納得がいっていない銀行員の「みどり」、定職につかずパチンコで日銭を稼ぎ、犯罪に手を染めていく「和也」。誰もが知らず知らずのうちに、あるいは進んで深みにはまっていく。
三者三様の視点から描かれるその筆致が素晴らしく、あまりに感情移入して臨場感を持って読めてしまう為に、自分の体験のように思えてしまい、だんだんと辛くなってくる。そういう意味で、『最悪』なのである。作者がそこまで考えてこのタイトルを付けたわけではないだろうけど。
648ページもある割りに、さくさくと読んでしまったのはなかなかの驚き。「コレ買おう」と思って指名買いした本ではなく、偶然手に取った本だけに嬉しい誤算の一冊だった。