x31hook's blog

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鳩の撃退法/15時17分、パリ行き/シェイプオブウォーター

先日、佐藤正午「鳩の撃退法」上下を読了した。独特な小説だなと思った。言葉を選ばずに言えば、そんなに面白くない、主人公も好きになれない、なのにすごく面白い、読む手が止まらない不思議な小説。小説の構造やストーリーの展開も変わっているなと感じた。

そして何より描写の力がすごい。小説内の出来事なのに自分の身に起きているようにリアルに感じる。フィジカルなシーンは尚更で、痛いシーンでは顔をしかめてしまった。

 

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

 

 

 

鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

 

 

 もっと前に観た映画二本。まず「15時17分、パリ行き」。これは映画じゃないドキュメントだという批判もわからんではないけどちゃんと映画してると思った。イーストウッド作品に外れなし、今回もまた。そういうつもりで行ってないのに何回もうるっときてしまった。スペンサーが子どものころから色々と上手くいかなくて苦労して苦労してのあのシーンでカタルシスを感じない人はいないのではないか。子どものころから祈りをささげていたことがようやくかなえられたと感じた。(祈りの部分は映画オリジナルらしい)

 

そして「シェイプオブウォーター」。見に行く前はこんなに今まで余韻があるとは思ってもみなかった。アカデミー効果かたくさんの観客がいたけれど、人口に膾炙するような映画ではないと思う、そしてはまる人は深くはまるのでは?大人のおとぎ話的なストーリーも良かったけれど、それ以上に小物へのこだわり、美術へのこだわりを強く感じた。靴とか部屋の装飾とか本当に美しく、もう一度大きいスクリーンで観たい。