正直に言おう。町田康って、本人をメディアで何回か見かけたのだが、何だか態度やら雰囲気やらが好きになれなかった。畢竟本を手に取ることもなく過ごしてきたのだけれど、「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」の書評を見て、読んでみようかなぁとふと思い、購入した。
この、他の人に影響されて「読んでみようかなぁ」とか「聴いてみようかなぁ(音楽の場合)」と思うことってすごく大事なような気がする。見識を広げる、と言う意味で。読まず嫌い、聴かず嫌いっていうのは結構あるわけで。
読んでみて吃驚。何しろ文体がすごい。破壊されている感。そして全編を流れる河内弁。
「かかってこんかい、こらあ。わいを殺す言うてたんとちゃうんか、こらあ。殺せ、早よ、殺さんかあ、なにしとんじゃこら。早よ、わいをどつけよ、殺せや」
町田康『告白』〜P92〜
一見読みにくいようだが、そして意味もわからないような言葉も時々出てくるが、テンポの良さと構成の妙だろうか、多少わからない単語が出てきても文意がつかめてしまう。そんなこんなで、一気に読了してしまった。体力面や仕事もろもろを考えてしまいさすがに徹夜は出来なかったが、すごい疾走感で先へ先へと読み進めてしまう。いや、読まされている、と言ったほうが近いだろうか。先ほどのblogから引かせていただくなら、
一言で表すなら、読むロック(ただし8beat)。
「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」〜徹夜小説「告白」でトランス〜
私的には、16beatのように感じたのだけれど。
内容はお楽しみということでここではあえて触れないのだけれど、決して楽しい話ではないはずなのに軽妙洒脱(?)な表現がポンポン出てきて読みながら思わず声を出して笑ってしまう箇所がいくつもあった。特に擬音が独創的で。
・くほほ
・くんくんくんくん突いてくる
・つんつん揺れる
・しゅらしゅらっとしりぞいた
ということで、ちょっとおかしな雰囲気にどっぷりと骨の髄まで浸りたい人にはぜひおススメ。